懲役と禁錮は、
受刑者の移動の自由を制限する自由刑です。
禁錮刑の判決を受けたケースとして、
スマホの「ながら」運転などを原因とした
交通事故が報告されています。
この記事では、
懲役や禁錮の違いをわかりやすくまとめてみました。
まず、懲役と禁錮刑の共通点について説明いたします。
- 自由刑の一種
受刑者の移動や、生活の自由を制限する目的で刑事施設に拘置される
※刑事事件を起こした場合、刑罰として、
日本には他に生命刑、罰金刑などがあります。
最悪の場合、家族と仕事を失います。
- 執行猶予が付く
執行猶予がつかない拘留は実刑判決のみとなり、また区別が必要です
- 刑期の上限下限は変わらない
刑法9条及び10条によれば、刑は重い順に
死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留及び科料と規定されています。
つまり、懲役が禁錮より重いということとなります。
実際には、有期か無期かにより重さが変わってくるため、
一概にそうとは言えないと言われています。
懲役とは?わかりやすくまとめてみた
懲役とは、受刑者が拘置された場所で
所定の労働作業、つまり刑務作業が課せられる刑罰です。
※刑務作業の目的
- 受刑者の勤労意欲を高め、職業上有用な知識及び技術を習得させること
- 1日8時間、平日週5日間、4週間で168時間と決められている
- 作業報奨金は1か月約4,000円程度支給
- 刑期中の私物購入や刑期終了後、仮釈放時の生活資金として使うことができる(ただし金額が少ないため、社会復帰後の資金としては期待できません。)
つまり、懲役には労働の義務があります。
刑務作業はどんなことをするの?
施設によりますが、刑務作業は
洋裁、印刷、溶接作業、野菜の生産、神輿の作成、
民芸品の作製、木彫り、カレンダーの印刷や
大型特殊免許取得など多様です。
刑務作業には、一般的に4つの種類があります。
- 生産作業
- 社会貢献作業
※受刑者が労務にあたり、社会貢献を実感するための目的としています。
- 職業訓練
※受刑者に免許、資格を取得させ、また、
職業的知識及び、技術を習得させるため訓練を行う目的としています。
- 自営作業
民間企業が、国を通じて刑務作業を委託することもあります。
懲役には期間がある?
「無期懲役とか聞いたことあるけれど、懲役には期間があるの?」
懲役には刑期があります。
2016年の統計によると、
3年以下の懲役が一番多いと言うことがわかりました。
懲役が適応される場合
懲役が科されるケースは、以下の犯罪となります。
- 傷害罪や暴行罪
- 詐欺や窃盗罪
- 名誉棄損
- 薬物事犯
- 住居侵入罪
- 強盗罪
- 殺人罪
- わいせつ罪
- 強制性交罪
- 脱税
一般的に、軽いもの以外を懲役と言われています。
「軽いものって、つまり、
軽度な犯罪は懲役じゃなくて禁錮と言うこと?」
軽度な犯罪から科されるケース、禁錮について説明します。
禁固刑とは?わかりやすくまとめてみた
禁錮刑が適応される場合
一般的に軽度な犯罪が科される場合、禁錮刑の適応となります。
- 交通事故などの過失
- 公務職権乱用
- 名誉棄損罪
- 内乱罪
それでは、禁錮について説明します。
禁錮の本来の意味は、
室内に閉じ込めて外出させないということとなりますが、
刑罰として、禁錮とは受刑者が拘置されるだけの刑罰です。
懲役のように、労働の義務はありません。
決まりとして、読書または運動をすることがありますが、
刑務所で寝転がることは許されません。
労働の義務はなく、強制されることはありませんが、
希望すれば懲役のように刑務作業を行うことができます。
実際に何もしないことが苦痛で、
自ら刑務作業を申し出る受刑者が多いです。
禁錮刑の受刑者も、刑務作業を行うことで、
懲役受刑者と同様に作、業報奨金を得ることができます。
無期禁錮ってある?
「無期懲役は聞いたことあるけれど、
無期禁錮は聞いたことないです。無期禁錮ってあるの?」
無期禁錮はあります。
言葉の通り、無期限で禁錮刑を受けることとなります。
無期禁錮刑が適用される犯罪は、
内乱罪という限定された犯罪となるため、
戦後に無期禁錮刑が適用された例はありません。
※内乱罪とは?
国の統治機構を破壊し、又はその領土において国権を排除して権力を行使し、その他憲法の定める統治の基本秩序を壊乱することを目的として暴動をする犯罪である。内乱予備罪・内乱陰謀罪や内乱等幇助罪とともに、刑法第2編第2章に内乱に関する罪として規定されている。
出典:ウィキペディア
禁錮受刑者の1日の生活とは?
「禁錮って所定作業がないんでしょ?1日、何しているの?」
ほとんどの禁錮の受刑者が、刑務作業を希望します。
ある禁錮刑の受刑者の1日の生活です
6:50 | 起床 床上げ、洗顔、掃除 |
7:00 | 点呼 |
7:10 | 朝食、歯磨きなど |
7:40 | 出室 |
8:00 | 作業開始 |
10:00 | 10分休憩 |
12:00 | 昼食 昼休み |
12:30 | 作業開始 |
15:00 | 10分休憩 |
16:30 | 作業終了 |
16:50 | 点呼 |
17:00 | 帰室 |
17:15 | 夕食 自由時間 |
21:00 | 消灯 |
表を見ると、刑務作業に8時間を要しています。
しかし、この時間帯に
毎日の運動と週3回の入浴の時間が含まれるため、
刑務作業が早く切り上げられることもあります。
面会など、作業を中断することも多く、
1日のうち作業ができないという日もあります。
刑務作業は平日のみとなるため、
土日祝日、年末年始はしっかり休養を取ることができます。
禁錮受刑者のほとんどが刑務作業を希望する理由は、
何もしなかったら暇を感じてしまい、
暇な時間ほど苦痛と言うわけであり、
それが長期になるとまた、苦痛を通り越して
気が狂いそうになるというわけですね。
まとめ
懲役と禁錮の違いについてまとめてみました。
違いは労働の義務と言うこと。
ただ、禁錮刑の受刑者も、
労働をせずに1日を過ごすよりは
何かをしたいと刑務作業を申し出ることが多いということがわかりました。
懲役と禁錮刑は、二つとも自由刑。
自由を奪われていることは変わりません。
懲役と禁錮の違いをまとめながら、映画「手紙」を思い出しました。
機会があれば、もう一度見たいですね。
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