オーケストラを見ていて、ふと思うのは、
全員の目の前に楽譜が置いてあり、
それを確実にめくったりもしているので、楽譜は見ているということ。
ふと浮かぶ疑問が、あれだけすばらしい奏者は何十年も音楽をやっている、
それであれば、譜面なんてなくても弾ける、
暗譜できるのが普通ではないか?と思いませんか?
歌手でも暗譜で歌っているので、
オーケストラなら尚更プロだし、できそうというイメージがありますよね。
でも何が疑問って、全員の前に楽譜があるのです。全員です。
しかし、実はあの譜面は、もっと奥深いものがあるのです。
だから全員100%で楽譜が置いてあり、活用しているのです。
今回の記事では、
オーケストラの演奏中に楽譜を見るのはなぜか?
オーケストラの人達は暗譜をしないのか?できないのか?
ということについて紹介していきます。
オーケストラで演奏中に楽譜を見るのはなぜ?
オーケストラで演奏中に楽譜を見るのはなぜか。
プロなら見なくてもできるのでは?
率直で、素直な疑問ですよね。
だってTVに出ているバンドなど楽譜は見ていないし、
それ以上に歌まで歌っているんだから、
なんで楽譜を見る必要があるのかわからない、というところです。
まず当然のことですが、見る必要があるからですね。
でも、曲や音階を覚えていないでプロと言えるのか?
楽譜を見ながらではないと弾けないのか?
そういうことではないのです。
オーケストラはプロ集団。
楽譜の情報は音階だけではありません。
強弱、アクセント、点、レガートなどなどのテクニックが、
事細かに小節ごとに記載されています。
そのうえ指揮者、今回のオーケストラの内容では、
弾き方、込めたい気持ち、音楽の解釈が違ったりするので、
そのたび同じ曲でも違ってくるのです。
それに応えるのが楽器を持つ人の仕事になりますので、
それを事細かに書き込んでいるわけですね。
ですので結論からいうと、
楽譜というのは音だけでなく、かなりの情報が記載されているため、
到底暗記できるものではありません。
ただし、大まかなものはすべて頭に入れておいて、
大事な部分は確認しながら、という感じで使用しているのです。
そしてさらに言うなら、今秋は●●のオーケストラ、
来週は〇〇のオーケストラという違う舞台になるとき、
その膨大な情報量を1週間でクリアするというのは、どんな人でも難しいでしょう。
逆に言えば、適当に演奏するなら楽譜はいらないのかもしれないですね。
プロで、ミスも許されない、
本気の舞台、完成度をより上げていくからこそ、楽譜は絶対的に必要なのですね。
オーケストラの人たちは楽譜を暗譜しないの?できないの?
前述でよく理解いただいたと思いますが、
まずもってオーケストラの人達は、暗譜しないのではありません。
できないのか?できないと言っても語弊はありませんね。
できるほうが不自然であると考えられます。
プロであり、その組まれたオーケストラに求められているものに
完璧に近い状態で応えるためには、楽譜は必須なのです。
少しのミスも許されないプロの世界ですからね。
例えば、「エリーゼのために」を演奏します。
エリーゼのためにを音階で弾けと言われれば、
プロのオーケストラは弾けないわけがありません。
でもAのオーケストラとBのオーケストラと
同じ「エリーゼのために」の音階でも、
込める気持ちや解釈や表現が違うため、楽譜も違うのです。
そのひとつひとつのオーケストラの要望に、プロとして応えているわけですね。
それを生業にしているということは、
毎週違うエリーゼのためにを演奏しているかもしれませんよね。
ですので、楽譜の暗譜はできないということです。
ちなみに、聞いている方は
あまり比べる機会がないからわからないのでしょうが、
AのオーケストラとBのオーケストラと同じ曲を弾いても、
全然違う雰囲気に感じることが当たり前のようですよ。
指揮者も違うので、テンポも強弱も違う。
ひとつのオーケストラで同じ曲をずっとやるなら、
暗譜は可能かもしれませんね。
でもプロなので、
おそらくいくつものオーケストラで
いくつもの曲を弾くことになっているはずです。
だからこそ楽譜は必須であり、その曲を完璧にしようという気持ちなのです。
ですので、考えようによっては、
楽譜を見ないで弾いていることは、
侮辱だと捉える人もいてもおかしくないほどの存在だということです。
まとめ
プロのオーケストラの楽譜には、
音階だけでなく、強弱、点、アクセント、レガート、
そしてそのオーケストラで弾くためのポイントなどの情報量が膨大なのです。
そしてプロなので仕事です。
毎日もしくは毎週演奏がある。
違ったオーケストラかもしれないし、同じオーケストラで違う曲かもしれない。
それを常に全部暗譜は、不可能です。
逆に、曲とオーケストラに真摯に向かっているからこそ、
楽譜を見ているという解釈ができると思います。
プロは少しのミスも許されません。
聞く人が聞けばわかるのです。
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